アントマン
第一回に相応しい映画を探していたわけではないが、奇しくも近々に観た映画は傑作だった。
マーベルスタジオ制作『アントマン』だ。
目次
このマーベルスタジオというのは、アイアンマンから続き、アベンジャーズ*1とメガヒットを量産しているスゴイところだ。
これは原作のアメコミを知らなくても面白いものが見られるだろうという期待がもてるというもの。
ダメおやじの背中
この映画には2人のだめ親父が登場する。
一人は言うまでもなく主人公のアントマンことスコット・ラング。彼は投獄され、離婚し、職につけず、養育費を払うといいながら払えずというダメダメ男だ。
もう一人は博士のハンク・ピム。小さくなる能力を持つアントマンの小さくなれる原理を開発し、昆虫を操る技術も発明し、大企業ピムテックを作り上げつつも――
愛弟子に発明をパクられ、企業を乗っ取られ、愛娘にもなかば愛想をつかされ、いい感じに哀愁ただようダメ親父になってしまっていた。
そんなダメ親父たちの“カッコイイトコロ”が注目ポイントのひとつといえる。
それは見に来た親父たちへの応援歌として機能する。
同様に親父の背中を描いた作品に『仮面ライダー響鬼』(実際は親父ではないが)、『ファインディング・ニモ』などがある。前者はテコ入れ、後者はそこまで明示されたテーマではないことから、このアントマンが新たなカッコイイダメ親父もののスタンダードになるだろう。
最新技術のミクロ冒険
アメリカ映画では古くはミクロの決死圏、ちょっと新しくなってミクロキッズなどに代表される極小世界の冒険ものを幾度とやってきた。
それぞれその時代の最先端の技術とアイデアで素晴らしい極小世界体験をさせてくれた。
今回のアントマンもそれらに負けず、その時の最先端の極小世界体験をさせてくれる。その一端を担ったひとつはなにより3D映画技術の向上になるだろう。深み、奥行きのある3D映像は極小世界特有のパースの効いた画面によく馴染み、劇中で実際に体験しているスコット同様にクラクラするくらい没入させてくれる。
過去の極小世界冒険ものに見られなかった、極小サイズと等身大のめまぐるしいチェンジも見どころだ。ヒーローものというのもあり、身体サイズ変換を武器に戦う。そのため、戦闘中に何度も何度もサイズが変わる。それを追って私達観客のサイズも変わり、一種アトラクションムービーのような浮遊感を味わうことになる。
アリはともだち?
劇中にはアントマンの頼れる仲間として蟻が登場する。大量の蟻が画面に現れるシーンもあり、そのテが苦手な人にはちょっとつらいかもしれない。*2
とはいえ、そこを乗り切れば可愛らしいところもあり、主人公同様に愛着が湧いていく。
彼らはアントマンの指示を的確にこなし、種類ごとにできることが違うらしい。これ、最近やったゲーム『ピクミンシリーズ』に似てる。命令に従い、果ては散っていく健気に頑張る姿。まさにゲームしていた時に感じたのと同じ切なさだ。
注目ヒロイン
今作のスーパーヒロインは回想に数秒出てきたピム博士がアントマンやってた時の妻ジャネットの“ワスプ”だけか・・・。と思ってたらエンドロール後に二代目ワスプ登場を思わせるシーンがあった。シリーズ次作の『キャプテン・アメリカ シビル・ウォー』にて登場しそうなホープの二代目ワスプに乞うご期待。
総評
★★★★★
文句なく5つ星を付けたい。今後もマーベルスタジオ制作はマストで観にいかねば。